2022/05/19:缶バッジをなくした
クローゼットを搔き回していたら、缶バッジがひとつ出てきた。一瞥では何のバッジか思い出せず、つまんで軽く思い巡らすこと暫し。もう解散してしまったインディーズバンドのグッズだ。友人が好きで、ひとつふたつくれたものだ。
しまっておいてもな。でも捨てるのも忍びない。軽い気持ちでお弁当を入れているサブバックに留めてみる。思ったよりかわいいな、もう曲は思い出せないけれど。
半月くらいつけていただろうかそれは、ある日突然消えていた。
消えた缶バッジの行方を思う。この都会の片隅に転がるそれが、ファンの人が目に留める確率なんて限りなくゼロに近い。ましてや作ったその本人たちが。でももしそんな偶然が、全くないとは言い切れないのがこの世の憎めないところだとも思う。そんな知っている人しかわからない青春の残滓が、きっとあちこちに落ちているのだろう。